地震による建物被害を軽減するため、旧耐震基準で設計された建築物の耐震補強を行うことが急務になっています。 トグル制震構法などの補強架構を建築物に取り付ける耐震補強では、既存躯体と耐震補強架構の接合部に高い接合耐力と剛性が要求されますが、従来のあと施工アンカーを用いる接合工法では、工事の際に生じる振動・騒音や、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)建築物を対象とする場合に埋め込み深さを確保できないという問題がありました。 これらの問題を解決するため、飛島建設と株式会社大本組およびサンコーテクノ株式会社は、3社共同で本工法を開発しました(特許出願中)。 本工法は、 @短い埋め込み深さでも高い接合耐力(埋め込み深さ90mmの場合、従来の標準的な工法に対し約6倍のせん断耐力)を発揮 A従来の間接接合工法に比べ施工時騒音を最大30dB低減 できる大きな特徴を有することから、幅広い多くの建築物を対象に耐震補強を適用することが可能となりました。
1.ディスクシアキーの適用方法 ディスクシアキーは、既存架構の構面内に、鉄骨枠付きの耐震補強架構を配置する構法に適用(図1)するものです。耐震補強架構(鉄骨ブレースを用いたものなど)と制震補強架構(油圧ダンパーを用いたものなど)のどちらに対しても、本工法を適用することが可能です。
2.ディスクシアキーの構成 ディスクシアキー(図2)は、埋め込み型のディスクと拡張機能を有するアンカーボルトを併用した複合型の接合部材です。
3.支圧抵抗機構 図3は在来工法とディスクシアキーの支圧抵抗の違いを示したものです。 本工法では、ディスクを既存コンクリートに埋め込み、そこで大きなせん断抵抗を受けられることから、ディスクシアキーは在来工法と比較して高いせん断耐力とせん断剛性を発揮できます。また、このようにディスクシアキーが高い構造性能を有しているため、既存躯体の目荒らしが不要になります。
4.設置状況 図4に在来工法とディスクシアキーの設置状況の違いを示します。 ディスクシアキーは1個当たりのせん断耐力が高いため、在来工法と比べるとその設置個数を1/6程度まで減らすことができます。これにより、スタッドや割裂防止筋などの他の関連部材との収まりが良く、さらに振動・騒音の発生回数も少なくなり、効率性の高い施工を実現できます。
5.施工方法 写真1は施工過程の中の、穿孔・溝堀作業と、ディスクの設置作業を示したものです。 穿孔作業に湿式コアドリル(写真1左側)を使用することで、ハンマードリルを用いる在来工法に比べて最大で30dBの騒音低減が可能です。また穿孔作業以外にも、接着剤にはカプセル型に代わり注入方式を採用し、アンカーボルトの端部拡張には低騒音の専用施工機械(アンカー打込機;サンコーテクノ製)を使用する事で、打撃音・騒音がなく、かつ安全確実な施工(写真1右側)を行うことができます。
6.技術性能評価 本工法の設計方法と施工方法を詳しく解説した「ディスクシアキーを用いた間接接合部の設計施工指針」を作成し、(社)建築研究振興協会より技術性能評価を取得しています(図5)。
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